任意売却・債務整理 よく聞く言葉だけどどういう意味?
任意売却とは?
住宅ローンの返済が滞り競売の危機にあるような状況でも、金融機関の合意を得て不動産を売却できるのが任意売却です。会社倒産やリストラなどで住宅ローンの返済が困難になった場合でも不動産を処分でき、「競売」という最悪の事態を回避することができます。
また、「離婚により財産分与の必要があるもののオーバーローンで通常の不動産売却ができない」といった場合でも、任意売却なら自宅を安値で買いたたかれることなく手放すことができ、そこで得た資金を債務の一部に充てることが可能になります。
債務整理とは?
債務整理は、個人や法人が負債を整理し、返済能力に応じた支払い計画を策定するための法的手続きやプロセスを指します。債務整理は主に経済的困難に直面して債務を返済できない場合や、負債が過剰に膨れ上がった場合に選択されます。債務整理の主な目的は、債務者の双方にとって公平な解決策を見つけ、財政的問題を解決することです。
任意売却は、競売を回避する有効な手立てです。
しかし、着手するタイミングを逃してしまったり債務者である金融機関との交渉が不成立だったりすると、それも叶いません。
そうなれば、不本意ながら自宅は競売にかけられることとなり、「家は失う、ローンは残る」という最悪な事態に至ります。
しかし、もともと経済的苦境に陥っていた方が住宅ローンを完済するのは、現実的にみて「大変厳しい」と言わざるを言えません。
やはり、債務整理をして、借金の軽減を図るのをおすすめします。
任意売却が成立した場合でも出来るだけ返済負担を軽くして生活再建を目指したいところですが、この場合も債務整理が有効です。
債務整理の方法とは?
それぞれのメリット・デメリットも知りたい!
一般的な債務整理の手法は『自己破産』『任意整理』『特定調停』『個人再生』そのほか『サービサー利用』『放置・時効の利用』
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# 01
自己破産
支払不能の状況にある人が裁判所を通じて財産を清算し、借金を免除してもらうことを「自己破産」と言います。
当事者は裁判所から破産宣告を受けて「破産者」となるため、ほとんどの財産は失うことになりますが、同時に借金もゼロになるため文字通り「白紙からの再出発」が可能です。
なお、毎月手元に残る金額と借金の利息が同額もしくは利息分が多い状況のことを「支払不能」と言います。
職を失ったり、重病を患って再就職のあてがなかったりして収入を得ることが当面困難と思われる方は、思い切って自己破産を選択するのが最善の道ではないでしょうか。
他の方法だと債務を圧縮することは出来ても、借金を完全にゼロにすることは出来ないからです。
ただし注意点は、ギャンブルや投機などで作った借金は「免責不可」ということです。仮に自己破産手続きをしても、その分が消えることはありません。
【メリット】借金をゼロにでき、その後の支払い義務が消滅する
【デメリット】●官報などに情報が掲載され、他人に破産の事実を知られることがある
●最長10年間、金融機関から融資を受けられない
●最長10年間、クレジットカードを持てない
●自己破産の手続き期間中である約3ヶ月間は資格取得や就業に制限が生じる
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# 02
任意整理
比較的借金の総額が小さい場合に、債権者との話し合いによって債務を整理する方法が「任意整理」です。
ただし、当事者同士で直接話し合うのではなく、弁護士や司法書士など法律の専門家を間に立てるのが一般的です。
任意整理は、連帯保証人がいる場合や借り手と貸し手の間柄が友人知人の関係にある場合など複雑な事情がからんでいるケースで有効な手立てとなります。
また、破産が欠格事由(欠格は要求されている資格を欠く状態のこと)となり退職を余儀なくされる弁護士や税理士の方、株式会社で取締役となっている方もこの任意整理を選択することが多いようです。
なお任意整理では、債務は圧縮されるものの、借金は免除にならないため十分な収入がなければ利用出来ません。
【メリット】●弁護士などに任意整理を委任すると貸金業者からの督促が止まる
●自己破産のように周囲や他人に知られない
●財産を維持出来る
【デメリット】●約7年間は銀行から融資が受けられない
●信用情報機関に掲載されるため、約7年間はクレジットカードを持てない
●借金は圧縮されるが免除されない
●収入がないと任意整理はできない
●和解が成立しない可能性がある
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# 03
特定調停
借金の返済を続けていくことが困難な方が、貸し手(=債権者)と返済方法などについて話し合い、生活の立て直しを図るための手続きが裁判所による「特定調停」です。
任意整理とは異なり、間に弁護士を立てずに借り手と貸し手が話し合いを通じて問題解決を図る方法で、双方の交渉が不成立となり、債務を圧縮することが出来ません。
基本的に一定額を返済することを前提とした調停ですので、収入がないなどの理由で返済の目途が立たないような場合は利用出来ません。
【メリット】●弁護士を間に立てなくてもよく、当事者同士で話し合いが出来る
●特定調停を裁判所に申し立てると、貸金業者からの督促が止まる
●過払いとなっていた利息を元金に組み入れて再計算すれば債務を圧縮できる
●将来的に発生する利息をカットできる
●どんな理由で生じた借金であっても利用出来る
●自己破産のように就業が制限されない
【デメリット】●裁判所からの通知で、特定調停の事実が家族に知られることがある
●調停が成立したあとで返済が滞ると給与・財産が差し押さえられる可能性が
ある
●信用情報機関に掲載されるため約7年間はクレジットが持てず、ローン申し
込みも不可
●連帯保証人がいると、債権者から連帯保証人へ請求がいく可能性がある
●調停の日時にはその都度裁判所へ出向く必要がある
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# 04
個人再生
裁判所を通じて債務を減額してもらう手続きを「個人再生」と言います。
裁判所に申立書を提出するなど手間はかかりますが、任意整理と比べても借金を大幅に減額できるのが特徴で、減額された借金は3年間で分割して返済していくことになります。
なお、個人再生では自己破産のように住宅など高価な財産が処分されることはありません。
借金の額が大きく全額返済するのは難しいものの、大事な財産を処分されたくない場合はこの個人再生を利用するとよいでしょう。
ただし、住宅ローンについては減額されないので注意が必要です。
【メリット】●借金の金額を最大で5分の1まで圧縮出来る
●住宅など高額な財産を残せる
●過払いとなっていた利息を元金に組み入れて債務を圧縮出来る
●将来的に発生する利息をカット出来る
●どんな理由で生じた借金であっても利用出来る
●自己破産のように就業が制限されない
【デメリット】●将来的に継続した収入が見込めないと利用出来ない
●債務総額が5,000万円以下(利息制限法の引き直し計算後)でないと利用出来な
い
●申請手続きが難しく、弁護士や司法書士に依頼する必要がある
●ほかの借金は減額出来ても、住宅ローンは原則として減額出来ない
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# 05
サービサー利用
金融機関から債権を譲り受け、その債務の管理・回収を行うサービサーと呼ばれる会社と交渉し、債務の一部弁済の代わりに、残りの債務を免除してもらう方法です。
仕組みは複雑ですが、交渉そのものは弁護士や司法書士に任せることになるのであまり気にしなくていいでしょう。
【メリット】●借金のかなりの部分を圧縮(減額)出来る
●弁護士や司法書士を通じて交渉するので話がまとまりやすい
●国が認めた債務整理という方法を用いるので、サービサーの対応がよくなる
【デメリット】●自分から債権回収会社に連絡すると借金の「時効援用」が利かなくなる
●弁護士や司法書士に交渉手続きを依頼するので相応に費用がかかる
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# 06
放置・時効を利用
借金を滞納していても、最後に返済した日から5年を経過している債務については「時効」が成立している可能性があります。
つまり、5年以上払わずに放置し続ければその分の借金は合法的にチャラになります。
法的には、借金の消滅時効によって債務免除益が発生し、これに多額の所得税がかかることになっていますが、収入も財産もなければ「滞納処分」という扱いになり、最終的にはその税金すら免除される可能性もあります。
もちろん金融機関や債券回収会社から差し押さえられるものもないので、一番気楽な方法と言えます。
ただし、時効成立には5~10年程度という長い期間を要するので、早期に解決を図りたい場合はむしろ自己破産を検討した方がいいでしょう。
【メリット】借金を返済せず放置するだけで時効が成立し、すべてがチャラになる
【デメリット】時効成立には長期間を要するので、早期に解決を図るのには向かない
任意売却は一般的な不動産売却と異なり、法的にも極めて専門的な知識が必要となるため、任意売却に実績のある不動産会社に依頼しなければ成功は見えてきません
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